
執筆者
S.G.
最近観た『dele(ディーリー)』というドラマ

依頼人が死んだあと、デジタル遺品を削除する仕事を描いた作品です。
IT技術的なことよりも人間ドラマがメインのストーリーではありますが、デジタルデータを扱う仕事として技術とデータの重さを考えさせられるドラマでした。
今回は、このドラマを見てエンジニアとして感じたことを書いてみたいと思います。
dele(ディーリー)とは
『dele』は、2018年に放送された日本のドラマです。依頼人が死んだあと、不都合なデジタルデータを内密に抹消する「dele. LIFE」を営む2人が主人公です。
削除されるデータには、家族に知られたくない秘密や、誰にも見せたくなかった思い出が詰まっています。
単なる技術的な作業ではなく、人の人生や感情が絡む重いテーマを扱っています。
個人的にとても好きなストーリーで、あるお話では泣いてしまいました…。
また、1話完結型なのも好きなポイントで、お昼休憩中や寝る前などに毎日1話ずつ見るのが楽しみでした。
デジタル遺品という問題
◆私たちは大量のデータを残している
スマホ、パソコン、クラウドサービス。私たちは日々大量のデジタルデータを生み出しています。
写真、メール、SNSの投稿、メッセージのやり取り、検索履歴、位置情報…これらすべてがデジタルデータとして記録されています。
◆もし自分が突然死んだら
ドラマを見て「もし自分が突然死んだら、このデータはどうなるんだろう」と考えました。
スマホには他人に見られたら恥ずかしいデータがあるかもしれません。
仕事用のパソコンには会社の機密情報が入っています。クラウドに保存した写真やメモも、誰かに見られる可能性があります。
デジタル時代だからこその問題です。
エンジニアとしての視点
◆データへのアクセス権限
ドラマの中で、削除する側は依頼人のデータにアクセスします。
パスワードを解除し、ファイルを開き、内容を確認してから削除する場面もあります。
エンジニアとして働いていると、データベースやサーバーにアクセスする権限を持つことがあります。
ユーザーの個人情報、購入履歴、メッセージの内容など、技術的にはこれらを見ることができてしまいます。
でも、「見ることができる」ことと「見ていい」ことは違います。
権限を持つからこそ、その責任の重さを感じます。
◆データの削除は本当に削除されるのか
ドラマではデータを削除する仕事が描かれていますが、技術的には「削除」は複雑です。
ファイルを削除しても、ゴミ箱に移動するだけです。ゴミ箱を空にしても、実はデータ自体はすぐには消えません。専用のソフトを使えば復元できることもあります。
完全にデータを消すためには、専用のツールで上書きする必要があります。
ドラマの中でもそうした技術的な配慮がされているのかな、と気になりながら見ていました。
クラウド時代の削除の難しさ
さらに複雑なのが「クラウドサービス」です。
Googleドライブ、iCloud、SNSに投稿した写真や動画など、これらは自分のパソコンだけでなくサーバー上にも存在します。
✓ どこまで削除すればいいのか
ローカルのファイルを消しても、クラウド上のコピーが残ることがあります。
✓ バックアップはどうするのか
自動バックアップによって、削除したはずのデータが別の場所に残っている可能性があります。
✓ アカウントの削除はどうするのか
アカウントを削除しても、サービス側にデータが保持される期間があります。
技術的にも、法律的にも、ユーザーのデータをめぐる問題は非常に複雑です。
Userのデータ

データを扱う仕事の責任
◆ユーザーのデータを守る
Web開発エンジニアとして、ユーザーのデータを扱う機会があります。
会員情報、注文履歴、アクセスログなどです。これらは、ユーザーが信頼して預けてくれているデータです。
セキュリティを意識した設計、適切なアクセス権限の設定、不要なデータの定期的な削除。こうした配慮がエンジニアには求められます。
◆データ漏洩の怖さ
万が一データが漏洩すれば、ユーザーに多大な迷惑をかけます。個人情報が流出すれば、悪用される可能性もあります。
deleを見て「データの重さ」を改めて実感しました。技術的にできることと、やっていいことは違う。この意識を常に持ち続けなければいけません。
◆不要なデータは残さない
開発中にテストデータや一時的なログファイルを作ることがあります。
これらを放置せずに不要になったら削除する。当たり前のことですが、改めて意識するようになりました。
デジタルデータとの向き合い
◆自分のデータを整理する
ドラマを見て、自分のデータを整理するようになりました。
・見られたくないデータは定期的に削除する
・大切なデータはバックアップを取る
・パスワードは安全に管理する
万が一のことがあった時に家族が困らないように、アカウント情報や大切なデータの場所をメモしておくことも考えています。
◆データの寿命を考える
すべてのデータを永遠に保存する必要はありません。一時的なメモ、古い写真、使わなくなったアプリ。定期的に見直して不要なものは削除する。
データを溜め込みすぎないことも、デジタル時代の生き方のひとつだと感じました。
プライバシーとセキュリティ
◆パスワード管理の重要性
ドラマでは、依頼人の個人情報(生年月日など)をもとにパスワードを解除する場面があります。
パスワードが簡単だと第三者に簡単にアクセスされてしまいます。
エンジニアとして、ユーザーに安全なパスワードを設定してもらうための仕組み作りも大切だと感じました。
パスワードの強度チェック、二段階認証の導入など、セキュリティ面での配慮が必要です。
✓ パスワード強度チェック
入力時にリアルタイムで強度を表示し、安全なパスワード設定を促す仕組みが必要です。
✓ 二段階認証の導入
パスワードだけに頼らず、SMSや認証アプリを使った二段階認証でセキュリティを強化します。
✓ 適切なアクセス権限
人・技術それぞれの重みを意識し、必要最小限の権限のみを付与する設計が求められます。
人・技術それぞれの重み

人間ドラマから学ぶこと
◆技術の先には人がいる
deleは、技術よりも人間ドラマがメインの作品です。削除するデータの背景には、人の人生や感情があります。
エンジニアの仕事も同じです。コードを書きシステムを作るその先には必ず使う人がいます。ユーザーの顔は見えないかもしれませんが、ひとりひとりの人生や感情があります。
技術は手段であって、目的ではありません。誰のために作るのか、何のために作るのか。この視点を忘れないことが大切だとドラマを見て感じました。
◆データには重みがある
データは単なる0と1の羅列ではありません。そこには、人の思い出や秘密が詰まっています。
エンジニアとして、データを軽く扱ってはいけない。この意識を持ち続けたいと思います。
◆生きているうちに準備する
deleを見て、「デジタル終活」という言葉を知りました。生きているうちに、自分のデジタルデータをどうするか考えておくことです。
・どのデータを残して、どのデータを削除するか
・アカウントのパスワードをどう管理するか
・他人に見せたくないデータをどうするか
自分の年齢的にまだ実感は薄いですが、いつかは考えなければいけないテーマだと思いました。
◆エンジニアとしてできること
デジタル終活を支援するサービスやツールを作ることも、エンジニアの役割かもしれません。
まとめ・総括
『dele』は、エンジニア技術がメインのドラマではありませんが、デジタル時代のデータとの向き合い方を考えさせられる作品でした。
エンジニアとして働く上で、以下のことを改めて意識するようになりました。
・データへのアクセス権限は責任が伴う
・ユーザーのデータを守ることの重要性
・技術的にできることと、やっていいことは違う
・データには人の人生や感情が詰まっている
・不要なデータは残さない
技術は便利ですが、使い方を間違えれば人を傷つけることもあります。
エンジニアとして、技術の責任を常に意識していきたいと思います。
もしまだ見ていない方がいたらぜひチェックしてみてください。
技術と人間の関わりを違った角度から見ることができるドラマです。
死後にデータを自動削除する仕組み、信頼できる人にだけデータを引き継ぐ仕組みなどです。技術でこうした問題を解決できる可能性があります。













