
執筆者
R.T.
OJTとその問題

OJTとは
「On-the-Job Training」の略で「職場内訓練」という意味になります。
実際の仕事を通じて、上司や先輩が新人や部下に業務に必要な知識やスキル、仕事に対する姿勢を戦力化のスピードアップと定着率向上を目的として計画的に教える人材育成の方法のことです。
IT業界では「未経験歓迎」「育成します」と書かれている企業も多いですが、実際にはほぼOJTのみで教育を回しているケースも少なくありません。
OJT自体が悪いわけではありませんが、仕組みとして依存しすぎると、教育が属人化し、人によって成長速度や理解度が大きく変わる問題が発生します。
教える人の力量に全てが依存する問題
特に問題になりやすいのが、「教える人の力量に全てが依存している会社」です。
◆現場に余裕がある時
丁寧に教えてもらえる一方、忙しくなると放置状態になる。担当者によって説明の粒度も違い、「前の人はこう言っていたのに…」という状況が起きやすくなります。
◆新人側の状態
何が正解なのか分からないまま作業している状態になりがちです。一貫した基準がないため、自分の理解が正しいかどうかも判断できません。
◆結果として起きること
成長速度や理解度が担当者によって大きく左右され、組織全体の育成品質が安定しません。
OJTにおける危険性

「とりあえず見て覚えて」文化の危険
◆IT業界の特殊性
IT業界は専門用語や前提知識が多いため、完全未経験者に対して"空気で理解してもらう"方式はかなり厳しい現実があります。
◆なぜ説明されなくなるのか
長年その環境にいる人ほど、自分にとって当たり前の知識を説明しなくなります。その結果、新人は質問するポイントすら分からず、理解不足のまま業務だけ進んでいくケースもあります。
OJT頼みの企業ほど「とりあえず見て覚えて」という文化が残っていることがあります。
この文化は未経験者にとって特に大きな障壁となります。
教育資料が整備されていない会社の危険性
教育資料が整備されていない会社も危険です。
以下のような状態が見られる組織は、属人化しやすい傾向があります。
◆マニュアルが古い
現状の業務フローと乖離した古い手順書が放置されており、参照しても役に立たない状態。
◆手順書が存在しない
そもそも文書化されておらず、全て口頭伝承に依存している。担当者が変わると引き継ぎが困難になります。
◆社内Wikiが更新されていない
「人に聞く前提」で回っている組織は、特定の人が休むだけで業務が止まるほど不安定です。
特定の人が休むだけで業務が止まるような現場は、教育面でもかなり不安定です。
「質問しづらい空気」が生まれやすい問題
◆なぜ質問しづらくなるのか
OJT中心の会社では、教える側も通常業務を抱えているため、新人側が遠慮してしまうケースは珍しくありません。
・教える側の業務負荷が高く、声をかけにくい雰囲気がある
・「忙しそうだから後にしよう」が積み重なり、疑問が解消されない
・質問すること自体が「迷惑」と感じてしまう心理的プレッシャー
◆リモート環境での深刻化
特にリモート環境では、"今話しかけていいのか分からない"問題も起きやすく、放置される時間が長くなることがあります。
・オンラインでの声かけタイミングが掴みにくい
・チャットでの質問が後回しにされやすい
・孤立感が増し、精神的な消耗につながる
OJTの問題に対する対処法

こうした環境に入ってしまった場合の対処法
実際にこうした環境の会社に入ってしまった場合は、「会社が整えてくれるのを待ちすぎない」ことも重要になります。
現実には"現場が回らないまま新人投入"というケースも少なくないため、自分で情報を整理する意識がかなり大切になります。
◆教わった内容をメモ化する
教わった内容を毎回メモ化し、後から見返せる形で記録に残す習慣をつけましょう。
◆作業手順を自分なりにまとめる
作業手順を自分なりにまとめることで、次回同じ作業をする際の確認コストが大幅に下がります。
◆頻出ワードを一覧化する
頻出ワードを一覧化するなど、小さくても「自分専用マニュアル」を作るだけで理解速度はかなり変わります。
知識の記録と質問の工夫で成長を加速させる
IT業界は、一度整理した知識が別業務でも再利用できる場面が多いため、最初に記録を残すクセを付けるだけでも後々かなり楽になります。
◆質問の仕方を工夫する
・「分かりません」だけだと相手側も説明範囲を決めづらいため、以下のような形にすると効果的です。
・「ここまでは理解していますが、この部分だけ確認したいです」
・回答側の負担が減り、助けてもらいやすくなります。
◆"回答しやすい人"になる重要性
忙しい現場ほど、「質問しやすい人」より「回答しやすい人」の方が助けてもらいやすい傾向があります。
・自分の理解状況を明確に伝える
・何を確認したいかを一言で絞り込む
・相手の時間を最小限にする配慮を示す
受け身にならず、自分の成長環境を見極める
完全に受け身になると精神的にもかなり消耗しやすくなります。
「放置されている」と感じやすくなるため、自分から確認タイミングを決めるのも有効です。
01 小さいルールを作る
「夕方に一度進捗確認をお願いする」「作業前に5分だけ認識合わせをする」といった小さいルールを作るだけでも、認識ズレや不安を減らしやすくなります。
02 数年後の成長を冷静に考える
それでも改善しない場合は、「この環境で数年後に成長できるか」を冷静に考える視点も必要です。未経験時期は最初に触れる環境の影響がかなり大きいです。
03 自分を責めすぎない
努力不足ではなく、単純に育成体制そのものが破綻している場合もあります。
「自分が悪い」と抱え込みすぎないことも大切です。
「教育されないこと」に慣れすぎると、後々かなり苦労するケースもあります。
環境の見極めは、キャリア形成において非常に重要な判断です。













