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PHPカンファレンス2025参加レポート⑥「モブワークによるSECIモデルの実践」

  • Webシステム
  • Today I Learned

2026.09.02

執筆者

M.N.

ベースとなるモブプログラミング

PHPカンファレンス2025の振り返り、第6回です。
今回は「モブワークによるSECIモデルの実践」というセッションについてです。

「モブプログラミング」という言葉自体も、「モブワーク」や「SECIモデル」という関連ワードも正直あまり馴染みがありませんでした。
プログラミング以外の作業にも広げた話、ということで興味を持って聴講しました。


モブプログラミングとは

まずベースとなるモブプログラミングの説明がありました。

モブプログラミングとは、チーム全員で1台のパソコンを使ってコーディングする手法です。
ペアプログラミングを3人以上に拡張したもの、と考えるとイメージしやすいです。

役割は2つに分かれています。

01 ドライバー
実際にPCを操作する人

02 ナビゲーター
指示を出す人

この2役を10〜15分程度で交代しながら進めていきます。
メリットとして挙げられていたのは以下のような点でした。

  • 知識、暗黙知の共有

  • コード品質の向上

  • 書き方の統一

  • 学習機会の増加

  • 熟練者の判断がリアルタイムで伝わる

  • 属人化の回避

モブワークとは——コーディング以外にも広げる
モブプログラミングがコーディング特化なのに対し、モブワークは要件定義や設計など、抽象度の高い作業にも適用する考え方です。

よく出てくる反論として「リソース効率が悪い」という意見があります。
これに対してセッションでは、「フロー効率」という観点から反論していました。

◆リソース効率
 各人が常に何かをやっている状態を指します。

◆フロー効率
 仕事そのものがスムーズに流れているかどうかを指します。

モブワークは一見リソース効率が悪く見えますが、レビュー待ちや引き継ぎのコスト、手戻りを減らすことでフロー効率が上がる、という考え方です。

「個人 vs 問題」から「チーム vs 問題」への意識変化が起きやすい、という説明も印象的でした。

 

知識創造の4つのプロセス

SECIモデルとは

SECIモデルは、知識創造の4つのプロセスの頭文字を取ったフレームワークです。
モブワークと親和性が高いとして紹介されていました。

S(共同化)
 暗黙知を直接共有するプロセス

E(表出化)
 暗黙知を言語化するプロセス

C(連結化)
 形式知同士を組み合わせるプロセス

I(内面化)
 形式知を実践を通じて身につけるプロセス

このサイクルを意識的に回すことで、チームの知識が積み上がっていく、というモデルです。


各プロセスのモブワークでの実践

S:共同化(暗黙知の直接共有)

モブワークにおいては、ドライバーとナビゲーターをローテーションすることで、熟練者のやり方を直接体験できます。

「なんとなくこうやっている」という暗黙のノウハウを、言語化しなくても伝えられるのが特徴です。
雑談や交流を通じた信頼関係の構築もこのフェーズに含まれるそうです。

E:表出化(暗黙知の言語化)

「なんとなくこうした方がいい」という感覚を言葉にするプロセスです。モブワークでは、ドライバーが操作しながらリアルタイムで思考を言語化したり、セッション後に振り返りとして「なぜそうしたか」を言語化したりします。

これは前回のSOLID原則の記事でも触れた「設計意図を言語化する」という話と通じるものがあります。

C:連結化(形式知の組み合わせ)

言語化された知識同士を組み合わせるプロセスです。複数チームの知見を統合したり、異なるバックグラウンドを持つメンバーの知識を掛け合わせたりすることで、新しい知識が生まれます。

I:内面化(実践を通じた習得)

得た知識を実際に使うことで、自分のものにするプロセスです。
セッションでは、習得したタスクはソロワークに移行し、取得した知識を他者に教えることでさらに定着を促す、という段階的な進め方が紹介されていました。


振り返ってみての所感

当時のメモには「複数人で一つの機能をつくる、となるとどうしてもリソースが気になるが、『暗黙知の共有』というのは良いなと思った」と書いていました。

1年経って振り返ると、この「暗黙知の共有」という観点は、チームの成長という文脈でじわじわ重要性を感じています。
ドキュメントに書けない「この人ならこう判断する」という感覚は、一緒に作業する中でしか伝わらないものですし、それが失われると属人化が進むばかりです。

当時のメモに「完全に教えるフェーズであれば、ペアプロの導入くらいはしてみても良いかもしれない」とも書いていて、1年後の今もまだ導入できていないのが正直なところです。
小さいところからでも試してみたい、という気持ちは変わっていません。

次回は、「PHP 8.4の新機能『プロパティフック』から学ぶオブジェクト指向設計とリスコフの置換原則」についてレポートします。

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