
執筆者
M.O.
ユニークな事例

前回の振り返り
前回は日本でも有名になってきた海外大手サイトが、同じ名前のco.jpドメインで好き勝手しているやつを見つけたので、ドメイン名紛争処理による裁定が行われることになった。
という内容の事例に触れました。
ユニークな事例の紹介
引き続き、過去の裁定一覧を見ながら、今回もお話していきたいと思います。
https://www.nic.ad.jp/ja/drp/list/all.html
ちょっとユニークな事例から見ていきたいと思います。
JP2023-0003、ドメイン名「GUNDAM-PROYAKYU.JP」の申立事例です。
さて、このドメインについてパネリストは、以下のように理解したとのことです。
01 トップレベルドメイン
本件ドメイン名のうち「.jp」の部分は、共通して用いられるトップレベルドメインで、自他識別力はない
02 二つの語の組み合わせ
「GUNDAM-PROYAKYU」の部分については、ハイフンが存在するため外観上「GUNDAM」と「PROYAKYU」という二つの語を組み合わせた文字列。
03 GUNDAMの支配的印象
本件ドメイン名の「GUNDAM」の部分は周知かつ造語であり「GUNDAM」の部分は強く支配的な印象を与えるということができる。
04 PROYAKYUの識別力
「PROYAKYU」の部分は「プロフェッショナル野球」の略称を表す普通名詞であるため、それ自体が自他識別力を有する場合もあるものの強く支配的な印象を与える 「GUNDAM」の部分と比して自他識別力が弱いといえる。
ハイフンで二単語を組み合わせた文字列のうち、どちらかと言えば「GUNDAM」という単語は、その名称で呼ばれる特定物を指し示す意味合いが強い。
「PROYAKYU」の部分は、いわゆる「プロ野球」という普通名詞だが、「プロ野球選手」などの単語から考えても強く特定の対象を示すわけではない。
ということでしょうか。
申立人の権利と判断基準

申立人は「GUNDAM」の商標を取得している企業であり、ドメイン名「GUNDAM-PROYAKYU.JP」がこの商標と混同を引き起こす。
という最終的な結論からも非常に理解しやすい判断基準かと思います。
この事例からわかるのは、どういったことであると言えるでしょうか。
他の事例への応用
例えば「GUNDAM-SOCCER.JP」というドメインですとか、「KIMETSUNOYAIBA-DONABEGOHAN.JP」(鬼滅の刃-土鍋ご飯)といった、二単語の組み合わせ(もしくはそれ以上)を思いついたとします。
※思いついた!と言ってしまうことも、どうなのかとは思いますが。
そのような場合においても、単語内のうち"自他識別力"が強いとされるものについて申立人が正当な権利を有する商標と混同または同一と言えるほど類似している場合、申立人こそが正当な権利者であると裁定されると言えるでしょう。
例に挙げたものは、もちろん既存の商標と一致するでしょうから当然として完全な造語の組み合わせに思えても、既に世の中に存在する場合もありますので、頭の片隅に置くべき事例の一つとして挙げさせていただきました。
正義は必ず勝つ

登録者の不正利用と疑問
最後にもう一点注目点として、登録者におけるドメイン名「GUNDAM-PROYAKYU.JP」の利用は、「ガンダムで使用されていた画像を含むコンテンツをそのまま使用したうえで、日本では禁じられているオンラインカジノに関するリンクを複数張っている」とのことなので、常識的に完全アウトな利用方法でした。
登録者が答弁を一切していないのは、当然後ろ暗い点を理解してと思われます。
さて、ここで一つ疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。
登録者が何も答弁していないのは、逃げ切れてしまうからではないのでしょうか?
裁定結果にも“だんまり”を決め込めば逃げ切れるのでは?
裁定の実効性と正義の勝利
前回裁判との比較について少々触れましたが、ドメイン名紛争処理の裁定は、法的拘束力を持ちません。
裁判よりも安いとはいえ「申立人が権利または正当な利益を有すること」、「登録者が、当該ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有していないこと」、「登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用されていること」の三点を頑張って証明してきたわけです。
その結果が、「あなたの主張の通りだし登録者は許せないよね!でも、移転や取消はできない」では、結局裁判起こすしかない!となってしまいます。
これについて、JPドメイン名を登録するに際して、登録者は事前に「第三者からJP-DRPに基づく申立てがあった場合、その裁定結果に従う」という内容の規約に同意しています。
この規約に従って、移転、取消の手続きは、裁定元の職権で実行が可能とのことです。
そう、正義は必ず勝つのです。
おあとがよろしいようで。
今回も、長々とお付き合いを頂きましてありがとうございました。













